方針を決めるときに使うテクニック

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公開:2018年7月27日  修正:2019年5月22日

1 はじめに

陸上自衛官には、方針を決めるときに使うテクニックがある。

これは、状況判断の思考過程というものであるが、ビジネスや生活のあらゆる場面に利用できると思うので、その内容について大まかに説明する。また、理解を容易にするために、状況判断の思考過程に基づき日本守(ひのもと まもる)君の家族旅行をどこにするかというときの考え方等を緑の太字で併記する。

ちなみに日本守君は、次の様な家族とする。

・家族構成:妻と長男・長女の4人家族(大阪在住)
・妻の希望:「気晴らしにどこか遠くに行って美味しいもんが食べたいわ」
・守君の気持:妻の希望を叶えてやりたいが、さて、何処に行って何をすればいいのやら?日程的にはA・B・C日程あたりが行けそうだ。

2 方針を決めるときに使うテクニック

それでは、自衛官がやっている状況判断の思考過程を開始する。ちょっと面倒くさいが、守君になったつもりで付いてきてほしい。

任務 → 状況および行動方針 → 我の行動方針の分析 → 我の行動方針の比較の順に考えていく。

(1) 任務

任務を分析して達成すべき目標とその目的を明確にする。

任務:頼れる夫として妻の希望を叶える。
達成すべき目標:どこか遠くに行って美味しいものを食べる。遠くというと北海道か九州だろう。
目的:家族の融和

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(2) 状況および行動方針

任務達成に影響を及ぼすすべての要因の特性を明確にする。

 ア 状況

 (ア)地域の特性

気象、地形などについて任務の達成に影響するものを考察する。

気象:九州のA日程は晴れ、B日程は曇り、C日程は大雨の予想
   北海道のA日程は雨、B日程は雨、C日程は晴れの予想

 (イ)相手の状況

 相手方の能力と、最近の顕著な事項、特性および弱点などについて考察する。(この相手とは、自衛官が戦闘していれば敵になるが、仕事上では上司でも調整先でも良いし、家なら奥さんや子供、旅行するなら旅行先でも何でも結構である。)

料理と料金:九州ならふぐ 5万円、北海道ならカニ 7万円

イベント:北海道でイベント開催予定

 (ウ)我の状況

 我の現況のほか、上下左右の力を合わせることができる我が方の現況を把握する。

現況:B日程は仕事が入って予定が変わる可能性がある。

   妻は、ふぐもカニも好物で予算は7万円が限度

    支援:北海道なら知人からおいしい店を聞くことができる。

 イ 相手の可能行動の考察・列挙

 任務達成に影響する相手方の可能行動のすべてを考察し、採用の順位をつける。

①大雨は家族の行動をかなり制限する。・・相手-1
②B日程で計画すると、仕事の影響で時間がずれることがある。・・相手-2

 ウ 我の行動方針の列挙

 状況から見出した目標を達成する行動方針を洗い出す。この行動方針は、何時、何処で、誰が、何のために、何を、どうするかを明示する。

① 九州に行き、ふぐを堪能する。5万円・・我-1
② 北海道に行き、カニを堪能する。7万円・・我-2

(3) 我の行動方針の分析

 ア シミュレーション

 相手方の可能行動と我が行動方針を掛け合わせてシミュレーションを行う。シミュレーションしてみて我が有利な解答がでなければ、我の行動方針の列挙に立ち返り、行動方針の着想を立て直す。

 このシミュレーションは天気が晴れとか曇りなら行動に影響がないので単純な掛けあわせになるのだが、日程によって天気の影響があるので表の中にその部分を評価しつつ総合評価では横一列に見て評価している。

〇行動方針の列挙(修正)

① A日程で九州に行き、ふぐを堪能する。5万円・・我-1

② 北海道に行き、カニを堪能する。7万円・・我-2

      ・A日程で行く・・我-2-ア

      ・C日程で行く・・我-2-イ

 イ 比較の要因の抽出

 シミュレーションを通して鍵となる比較のための要因を抽出する。

我の行動方針を比較する要因は料理、天候、観光、経費とする。

(4) 行動方針の比較・結論

 ア 比較要因の評価

 シミュレーションの結果として抽出した比較要因に比較のための重み付けを行う。〇や△で甲乙付け難い場合は重み付けで評価する。

重み付けは、おいしい物を食べるために行くので料理が最重要、次いで天候の順に優先する。

 イ 行動方針の比較

 比較要因を尺度としてわが行動方針を比較し、最良の行動方針を選択する。

行動方針の比較:

結論:カニを堪能し、天候に恵まれ、イベントにも参加できる我ー2ーイを選択する。経費は九州よりも割高になるが予算の範囲なので対応可能である。

3 まとめ

いかがだろうか?すごく面倒くさいが、思考過程がはっきりしていると途中で問題がでたときにフィードバックして修正もしやすい。例えば2(2)で追加した「状況判断の思考過程」のどこかに誤りがあったり、新たに判明した事項があったときは思考過程の該当箇所とその先の関連事項が修正になる。

結果として、方針が変わることもあるが、変わらないこともある。いずれにせよ、紙に書いておけば既にできあがったものをフィードバックして修正するだけなので大きな変更事項でもなければ直すのは早い。

家族の重要なイベントの方針を決める際は、こんな手順で物事の大枠を決めては如何だろうか?何処でどんなことをやっていて、希望が何で、その比較の要因がなんだかんだと話し合う中で夫婦仲も良くなるのは間違いない。と思う。

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この記事へのコメント

    1. はい。この記事を読んで「どうやって決めるか」について参考にして下さい。

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