自衛官は公務員だけど、なぜ軍人ではないのか?

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公開:2018年9月4日  修正:2018年12月3日

1 はじめに

 自衛官の身分は、日本の防衛省の特別の機関である自衛隊の任務を遂行する特別職国家公務員だが、諸外国において軍人が公務員なんてことがあるのだろうか?

 また、ないとした場合、なぜ日本だけがそうなったのかを調べてみた。

2 諸外国の国家公務員制度

 諸外国の国家公務員制度という資料を、総務省、人事院の資料を元に内閣官房行政改革推進室が作成している。

 その資料によれば、アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・韓国・ニュージーランド及びオーストラリアの国家公務員の数や種類が記載されているが、軍人が国家公務員であるという国はない。

 また、民間人の定義について、GOO国語辞書によれば、「世般の人々。また、公の機関に属さない人。あるいは、戦闘員・軍人でない人々。」とのこと。

 このことから、普通の国の国民は、公務員・民間人・軍人と分かれていると理解できる。

3 日本の歴史

 自衛隊がどのように生まれたかを次に示す。

(1)1945年、戦争に敗れた日本は、戦勝国から武装解除をせまられ軍をなくした。

(2)1950年、朝鮮戦争が始まると朝鮮半島に送られる駐留米軍の穴をうめるためにGHQの要求で警察予備隊をつくった。警察予備隊は、警察を補う実力組織と位置づけられ武器を持たせた。

(3)1952年、サンフランシスコ平和条約が発効し、警察予備隊令が失効することから、警察予備隊を改編して保安隊をつくった。

(4)1954年、憲法9条下において軍隊でも警察でもないが国防を任務とする自衛隊ができあがった。

 当時の政府説明は、憲法で戦争は放棄したが、国際法で認められている「自衛権」は持っていると説明した。

 そこで、戦力とは「自衛のための必要最小限度の実力を超えるもの」と定義し、自衛隊は憲法で持つことが禁じられた戦力ではないとの立場をとった。

4 おわりに

 3項の歴史から見て、憲法9条下において自衛官は軍人であると定義できなかったから、警察予備隊の流れのまま公務員として現存しているものと思われる。

 そのような訳で軍法会議もないまま、PKOで戦闘行為があって死者でも出たときはどうなるのか?そう。軍法会議がないので、検察が自衛隊員を被疑者として殺人罪で起訴し、裁判所で審理するなどという話になる。困ったものだ。

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