自衛隊は憲法違反なのか?9条の解釈を整理した
公開:2018年8月25日 修正:2018年12月4日
1 はじめに
私が自衛官になった三十数年前は社会党が野党第一党であり、最初に赴任した北海道は革新系の活発な土地柄であった。
そんな中、道東の方に訓練に出かけたりしたときは自衛隊反対の看板と、自衛隊に好意的な自衛隊さん歓迎の看板の中をトラックで走って、どちらの看板の数が多いかと数えたものだ。
あれから平成になりその平成も終わろうとしているが、憲法改正論議も出る世の中になったので、今一度自分なりに憲法9条の解釈等について整理してみた。
2 日本国憲法第九条
日本国憲法九条は次のように謳っている。
1項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
3 戦争の放棄とは
1項の解釈においては、限定放棄説と全面放棄説で解釈が分かれる。
限定放棄説は、自衛戦争は放棄しないものとするが、全面放棄説は自衛戦争も含めて全ての戦争を放棄するものである。
解釈が分かれる理由は1項の「国際紛争を解決する手段として」という部分が、「武力による威嚇又は武力の行使は」のみにかかると解釈するのが限定放棄説であり、「国権の発動たる戦争と」にもかかっているとするのが全面放棄説である。
4 戦力とは
軍隊とは、兵器およびそれを扱う兵士からなる戦闘力を備えた集団であり、素直に考えると今の自衛隊は軍隊であり戦力であるから違憲だと言わざるをえない。
しかし、政府の見解としては、「自衛権は、憲法9条でも否定されておらず、自衛のための最低限度の実力を保持することは憲法上許されている。戦力とは自衛のための必要最小限度の実力を超えるものと定義し、自衛隊は、憲法で持つことが禁じられた戦力ではないため、合憲である。」としている。
ここで、自衛権とは外国からの急迫または現実の違法な手段に対して、自国を防衛するために必要な一定の実力を行使する権利である。
5 要するに必要なこと
要するに必要な論議は、自衛隊は違憲か合憲かではなく、日本は自衛権まで放棄するのかという議論が必要ということだろう。某国が攻めてきて、又は某国のミサイル等が飛来してきて土地や生命や財産を奪われそうになったときでも黙って見ているのかという議論だ。
また、自国が直接攻撃を受けていなくても、同盟国のような密接な関係がある他国が攻撃を受けた場合に放っておくのかという議論だ。
6 おわりに
普通なら、自衛権は当然必要で、そのことを解釈で違憲合憲を論ずるのではなく、子供でもわかるような条文に改正することが必要である。当然、自衛隊であれ軍隊であれ自衛権を持つための実力組織のことはその中で整理される話に過ぎない。
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