再就職しないときの健康保険から国民健康保険等への切替
公開:2018年10月31日 修正:2018年12月27日
目次
1 はじめに
会社員を辞めて会社に健康保険証を返すと、そのまま任意継続被保険者となるか国民健康保険に切り替えなければならない。会社は社員でいるうちは会社の係が色々やってくれるが、退職して再就職しないのであれば自分で申請していかねばならない。
ここでは、会社員等が仕事を辞めて再就職しないときの健康保険の切り替え(選び方)について説明する。
2 国民皆保険の制度
日本は、国民皆保険の制度をとっており、すべての国民は何らかの公的医療保険に加入し、お互いの医療費を支え合うことになっている。
保険の種類 | 対象 |
健保組合 | 健保組合を持つ大企業の会社員とその家族 |
協会けんぽ | 健保組合を持たない中小企業の会社員とその家族 |
共済組合 | 公務員とその家族 |
国民健康保険 | 会社員や公務員等以外の自営業者や無業者等 |
後期高齢者医療制度 | 75歳以上の者(障害認定を受けていれば65歳以上の者) |
3 退職後の健康保険の選択
会社員や公務員が退職するとき、それぞれの組合の任意継続被保険者となるか、国民健康保険に加入するか誰かの扶養に入るかを選択しなければならない。
(1)任意継続被保険者の制度
この制度は、退職後は国民健康保険に加入するのが一般的ではあるが、保険料が高額になってしまうケースがあるので設けられた制度である。
① 資格要件
- 適用事業所に使用されなくなった。
- 継続して2ヶ月以上被保険者だった。
- 資格喪失の日から20日以内に保険者に申し出る。
上記要件を満たした場合は、被保険者の資格を喪失した日にさかのぼって任意継続被保険者の資格を取得する。
② 資格喪失
- 任意継続被保険者となって2年を経過
- 死亡した。
- 保険料を納付期日までに納付しなかった。
③ 保険料
自分の加入している健保組合、又は協会けんぽか共済組合に保険料を試算してもらう。
(2)国民健康保険
国民健康保険は、健康保険等の医療保険に加入できる会社員や公務員とその家族以外の者を対象とする医療保険である。
① 保険者
- 市町村
- 国民健康保険組合
② 被保険者
- その市町村の区域内に住所を有する者
(適用除外:会社員や公務員とその家族、75歳以上の者、生活保護を受けている者、国民健康保険組合員等)
- 国民健康保険組合員及びその家族
③ 資格の得喪
市町村の被保険者 | 国民健康保険組合の被保険者 | |
取得 | ・市町村に住所を有することになった日
・適用除外に該当しなくなった日 |
・組合員又はその家族となった日
・適用除外に該当しなくなった日 |
喪失 | ・市町村に住所を有しなくなった日の翌日
・適用除外に該当した日の翌日 ・生活保護を受けることになった日 ・国民健康保険組合の被保険者となった日 |
・組合員又はその家族でなくなった日の翌日
・適用除外に該当した日の翌日 生活保護をうけることになった日 |
④ 保険料
市町村役場の国民健康保険課に保険料を試算してもらう。
(3)退職後の健康保険
記述のとおり任意継続被保険者は2年間の有効期限がある。その2年間、どちらかの公的医療保険を利用するか誰かの扶養に入るかは試算してもらった保険料と可能性を比較検討しながら、有利なタイミングで切り替えれば良い。
4 おわりに
任意継続被保険者になると2年間は辞めることができないとか、2年間は辞めない方が得だとか書いているブログを見かけるがそんなことはない。事実、筆者の場合、自衛官を退職して1年間は任意継続被保険者として、その後は国民健康保険の方でお世話になっている。
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