老齢・障害・死亡により国民年金を受給する要件とは?
公開:2018年9月29日 修正:2018年12月15日
目次
1 はじめに
国民年金制度の目的は、老齢・障害・死亡により国民生活の安定が損なわれることを防止することである。この年金は、全ての国民を対象とした年金制度であるため、国民全員で協同連帯して支え合う制度である。
しかしながら、国民年金は受給資格ができたら自動的に支給されるわけではない。自分で判断し受け取るための手続きをする必要がある。
ここでは、どんなときに国民年金が受給できるのかその要件についてかんたんに説明する。
2 老齢基礎年金の受給要件
老齢基礎年金は、受給資格期間を満たした方が、通常65歳から生涯受け取ることができる年金である。
- 保険料納付済期間又は保険料免除期間(学生納付特例及び若年納付猶予による期間を除く。)を有すること
- 65歳に達したこと
- 受給資格期間(保険料納付済み期間と保険料免除期間とを合算した期間)10年以上あること
10年要件の特例で合算対象期間を加算することもできる。
細部については、次の日本年金機構HPの合算対象期間を参照していただきたい。
3 障害基礎年金の受給要件
障害基礎年金は、国民年金加入中、もしくは20歳前に初診日がある病気や怪我が原因で、重い障害が残った方が、国民年金法に定められた1・2級に該当すると認められた場合に受け取ることができる年金である。
(1)初診日要件
- 被保険者であること
- 被保険者であった者で国内に住所を有し、かつ60歳以上65歳未満
(2)障害認定日要件
- 初診日から起算して1年6か月を経過した日に障害等級(1級又は2級)該当
- 1年6か月以内に傷病が治ったときは、その治った日に障害等級(1級又は2級)に該当
(3)保険料納付要件
- 初診日の前々月までの保険料の支払い済み期間と保険料免除期間を合算した期間が加入期間の2/3以上あること。(原則)
- 特例:初診日が平成38年4月1日前までは、初診日の前々月までの直近の1年間に保険料の滞納がないこと。(特例)
(4)その他
- 20歳前の傷病による障害基礎年金
20歳に名前の学生が障害を負ったときは、本来であれば障害基礎年金は支給されない。しかしながらこの場合でも20歳以上になれば生活保障をする必要が生ずることから、福祉的に障害基礎年金を支給している。
4 遺族基礎年金の受給要件
遺族基礎年金は、死亡を支給事由とする年金給付であり、国民年金の被保険者が死亡したときにその遺族(子のある配偶者又は子)に支給する年金である。
(1)死亡した者の要件
- 国民年金に加入中に死亡
- 被保険者であった者で、国内に住所を持ち60歳以上65歳未満である者が死亡
- 老齢基礎年金を受給中又は受給できる資格があるときに死亡
(2)保険料納付要件
- 死亡日前日の前々月までの国民年金の被保険者期間のうち、保険料の納付済み期間と免除期間が加入期間の2/3以上あること。(原則)
- 死亡日が平成38年4月1日前の死亡については、死亡日前日の前々月までの1年間のうちに未納期間がないこと
ただし、死亡日において65歳以上の者には適用されない。(特例)
5 寡婦年金の受給要件
寡婦年金は、第1号被保険者として老齢基礎年金の受給資格期間を満たした夫が、老齢基礎年金を受給する前に死亡した場合に受け取ることができる。
(1)妻に必要な要件
次の要件をすべて該当すること
- 夫により生計を維持
- 夫との婚姻関係(事実婚含む。)が10年以上
- 65歳未満(支給開始は60歳になった月のよく月から)
(2)死亡時の夫の要件
次の要件をすべて該当すること
- 死亡日の前日において、第1号被保険者としての保険料納付済み期間と保険料免除期間との合算が10年以上
- 障害基礎年金の受給権者であったことがない
- 老齢基礎年金の支給を受けていない
6 死亡一時金の受給要件
死亡一時金は、国民保険料を36ヶ月以上支払った方が、老齢基礎年金も生涯基礎年金も受け取らずに亡くなった場合に、死亡者と生計を同じくしていた遺族(配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹)が受け取ることができる。
7 おわりに
これらの年金は、受給資格ができたら自動的に受け取れるものではない。どんな時にどんなものが受給できるということが判っていてはじめて請求し受給できるものであるので覚えておきたい。
また、年金には5年の請求時効があり、権利が発生して5年以上請求しなかった場合、5年まではさかのぼって受け取ることができるがそれより以前の分は受け取れなくなるので注意しよう。
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