会社員の妻が離婚をしたときに知っておくべき年金のこと

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公開:2019年1月21日

1 はじめに

 厚生労働省の婚姻の年次推移同じく離婚の年次推移によれば、年間約70万組が婚姻をし約25万組が離婚をしている。実に3組に1組以上が離婚をしているという計算になるが、会社員の妻が離婚をする場合、夫の年金を分割する請求ができることを知っているだろうか?(反対のパターンもあるが多い方の例で話を進める。)

 年金分割には、合意分割と3合分割という二通りの方法があるが、もし自分がそういう状況に陥ったときどんな請求ができるのか、その判断基準について知っておくべきことを記す。

2 3号被保険者の年金の扱い

 会社員の妻が専業主婦である場合の厚生年金の取扱や離婚後の被保険者の種別変更は次のようになっている。

(1)厚生年金の取扱

 婚姻中の会社員の妻が専業主婦であって、20歳以上60歳未満の者は第3号被保険者となる。そしてその間は、国民年金保険料のみ納付したことになり、夫の厚生年金(共済年金)は妻には反映されない

(2)離婚後の被保険者の種別変更

 3号被保険者が離婚をすると次のどちらかに種別変更することとなる。

  • 国民健康保険料を自己負担し、第1号被保険者となる。
  • 厚生年金の適用事業所で週30時間以上働いて第2号被保険者となる。

3 年金の分割

 会社員とその妻が離婚した場合、そのままでは女性側の貧困等の問題が発生することがあるので、次のような制度が設けられている。

(1)合意分割制度

 「合意分割制度」とは、2007年4月以降に離婚する場合、離婚時に請求をすれば、年金額の基礎となる各月の標準報酬額が50%を限度に分割される制度である。

 分割の割合いについて合意しているときは、年金事務所に届け出を行うことにより、将来元妻に分割した分の年金が支払われるようになる。

 分割の割合いについて合意できないときは、家庭裁判所が請求すべき割合いを定めることになる。

(2)3号分割制度

 「3号分割制度」とは、2008年4月以降に離婚する場合、3号被保険者が請求すれば、2008年4月以降離婚するまでの各月の標準報酬が当然に2分の1に分割される。合意は不要である。

 また、2008年3月以前の婚姻期間の厚生年金部分は、夫婦で協議のうえ標準報酬額の50%を限度に分割される。

(3)合意分割と3号分割の併用

 このパターンが一番多いと思われる。説明は上記の重複になるので差し控える。

4 おわりに

 2008年3月31日以前の分は、3号被保険者として配偶者に扶養されていたとしても合意分割の対象になる。ただ、合意分割の手続きを始めると3号分割の手続きも始まったことになるので合意分割の手続きだけ行えば良い。また、離婚をした時から2年を経過すると請求ができなくなるので覚えておきたい。

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