老齢・障害・死亡により厚生年金を受給する要件とは?

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公開:2018年10月2日  修正:2019年1月5日

1 はじめに

 厚生年金保険の制度の目的は、労働者の老齢・障害・死亡という保険事故について保険給付を行うことで、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することである。

 労働者の制度であるので、在職中に保険事故があった場合には会社の担当者が手続きをするだろうが、会社を退職すれば、自分で判断し受け取るための手続きをする必要がある。

 ここでは、どんなときに厚生年金が受給できるのかその要件についてかんたんに説明する。

 

2 老齢厚生年金の受給要件

 老齢厚生年金は、65歳未満の者に特例的に支給される特別支給の年金と65歳から支給される原則支給の年金とがある。

(1)特別支給の老齢厚生年金

  • 60歳以上であること
  • 1年以上厚生年金保険の被保険者期間があること
  • 国民年金の老齢基礎年金の受給資格期間を満たすこと

(2)原則支給の老齢厚生年金

  • 65歳以上であること
  • 1ヶ月以上厚生年金保険の被保険者期間があること
  • 国民年金の老齢基礎年金の受給資格期間を満たすこと

 

3 障害厚生年金の受給要件

 障害厚生年金は、一定の要件を満たして障害の状態に該当した場合に障害基礎年金の2階部分として支給される年金である。障害手当金は、障害等級3級よりも軽度の一定の障害が残ったときに一時金として支給される。

(1)障害厚生年金(原則)

  • 初診日の前々月までの国民年金の被保険者期間のうち、保険料の納付済み期間と免除期間が加入期間の2/3以上あること。

(2)障害厚生年金(特例)

  • 初診日が平成38年4月1日前にある傷病による障害については、初診日の前々月までの1年間のうちに未納期間がないこと

(3)障害手当金

  • 初診日において被保険者であること
  • 初診日から起算して5年を経過する日までの間にその傷病が治ったこと
  • 傷病が乗った日において障害手当金を受けるべき一定の障害の状態にあること
  • 障害厚生年金と同様の保険料納付要件を満たしていること

 

4 遺族厚生年金の受給要件

 遺族厚生年金は、死亡した被保険者等の遺族の所得を保障するための年金である。

(1)保険料納付要件(原則)

  • 死亡日の前々月までの厚生年金の被保険者期間のうち、保険料の納付済み期間と免除期間が加入期間の2/3以上あること。

(2)保険料納付要件(特例)

  • 死亡日が平成38年4月1日前の死亡については、死亡日の前々月までの1年間のうちに未納期間がないこと

  ただし、死亡日において65歳以上の者には適用されない。

 

5 中高齢寡婦加算の受給要件

 子のある妻に対しては、遺族厚生年金や遺族基礎年金が支給されるが、子のない妻に対しては遺族厚生年金しか支給されないので生活を援助するため中高齢寡婦加算が行われる。

(1)妻に必要な要件

  • 夫の死亡当時、40歳以上65歳未満であり、子がいないこと

  • 夫の死亡当時、40歳未満で40歳に達した当時子がいるため遺族基礎年金を受けていたこと

(2)死亡時の夫に必要な要件

  • 厚生年金保険に加入中に死亡
  • 老齢厚生年金を受給中又は受給できる資格があるときに死亡(夫の厚生年金被保険者期間が20年以上であること)

 

6 おわりに

 これらの年金は、受給資格ができたら自動的に受け取れるものではない。どんな時にどんなものが受給できるということが判っていてはじめて請求し受給できるものであるので覚えておきたい。

 また、年金には5年の請求時効があり、権利が発生して5年以上請求しなかった場合、5年まではさかのぼって受け取ることができるがそれより以前の分は受け取れなくなるので注意しよう。

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