年金の併給調整のまとめ

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公開:2018年11月5日  修正:2018年12月25日

1 はじめに

 もしあなたが老齢基礎年金と障害基礎年金の両方の受給権を持っているとする。これはどちらも生活保障のための給付であり、両方受給すると2重の保障となってしまうので、1つの年金しか受給できない。

 これを「併給調整」というが、両方受給できると思っていると将来設計が大きく変わってくるのでここで概要をまとめてみた。

2 併給調整の原則

 公的年金には「1人1年金」の原則がある。ただし、支給事由が同じであれば併給ができる。支給事由とはその年金の受給要件が「老齢」か「障害」か「死亡」かということである。

3 国民年金と厚生年金との併給調整

(1)同一事由による年金の併給

 これは2階建ての年金のことであり、国民年金や厚生年金保険法による違う年金制度であっても、同一の支給事由であれば受給できる。

  • 老齢基礎年金(付加年金も併給可能)と老齢厚生年金
  • 障害基礎年金と障害厚生年金
  • 遺族基礎年金と遺族厚生年金

(2)異なる支給事由による年金の併給

 異なる支給事由による年金は併給されない。ただし、受給権者が65歳以上である場合に限って、次の年金が併給される。

  • 老齢基礎年金(付加年金も併給可能)と遺族厚生年金
  • 障害基礎年金と老齢厚生年金
  • 障害基礎年金と遺族厚生年金

4 厚生年金内での併給調整

 65歳以上の遺族厚生年金の受給権者が老齢厚生年金の受給権を有することとなったときは、老齢厚生年金が優先支給される。また、遺族厚生年金は老齢厚生年金との差額が支給される。

5 雇用保険と厚生年金の併給調整

(1)特別支給の老齢厚生年金と雇用保険の基本手当

 雇用保険の基本手当を受給しているときは特別支給の老齢厚生年金は全額が支給停止となる。

(2)在職老齢年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付

 雇用保険の高年齢雇用継続給付と年金を受給している場合、高年齢雇用継続給付を受給していることによる一部支給停止と、在職していることによる一部支給停止がある。

6 おわりに

 年金について受給権が発生したものは全部受給したいと思うものだが、公的年金の総額が年間50兆円にも達することを考えればあまり無理も言っていられないか。

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