リバースモーゲージの仕組みとメリット・デメリット
公開:2018年12月18日 修正:2018年12月26日
目次
1 はじめに
年金だけでやっていけるのだろうか?というのは多くの人の素朴な疑問であろう。各種のデータから相場観をつかみ、問題の対策の一つとしてリバースモーゲージに求めている。
そしてそのリバースモーゲージの仕組みとメリット・デメリットについて説明する。
2 各種データ
収入としての年金給付のこと、支出としての家計支出のこと、そして最低限必要な日常生活費とゆとりある生活費のことについて各種のデータから見ていく。
(1)厚生労働省の公的年金全体の資金の流れ
厚生労働省の公的年金全体の資金の流れによれば、平成26年度の年金給付として基礎年金(40年加入)で月額65(千円)厚生年金(夫婦2人分の標準的な年金額)として221(千円)となっている。ただし全体としての年金給付54.2兆円を受給権者数3,950万人で単純に割って月額に換算すると114(千円)となる。
(2)総務省の家計調査報告
総務省の「家計調査報告(家計収支編)-平成29年(2017年)平均速報調査結果の概要」によれば、世帯主の年齢が60~69歳の家計支出(二人以上の世帯)は月額290(千円)であり、70歳以上となると月額235(千円)となっている。
(3)公益財団法人生命文化センターの生活保障に関する調査
公益財団法人生命文化センターの平成28年度「生活保障に関する調査」(平成28年12月発行)によれば、老後の最低日常生活費は月額220(千円)、老後のゆとりある生活費は月額348(千円)となっている。
(4)各種データから判ること
(1)~(3)を一つのグラフにすると次のようになる。
この表から判ることは、
- 年金保険料を40年間払い続けた世帯はゆとりある生活とまでは行かないが年金だけでも生活できること
- 年金給付が普通の世帯は、最低の日常生活さえできず財産を取り崩して行かないと生活できない
ということだ。
最低の日常生活さえできず財産を取り崩すといっても住んでいる家を売ってしまうというのもできない。こんなときにリバースモーゲージというしくみがある。
3 リバースモーゲージとは
(1)仕組み
リバースモーゲージとは自宅を担保として金融機関からお金を借り受け、死亡時または契約満期時に自宅を売却することで一括返済するしくみである。
自宅を子供に遺さないというのが前提になるが、そういう夫婦に取っては有効な金融商品である。
ただ、貸し出しの上限は担保評価の50~80%程度が融資限度となること。限度額は毎年見直されること。融資には変動金利が適用されることも注意しなければならない。
(2)融資のタイプ
- 年金タイプ:毎年一定額が融資される
- 一括融資タイプ:まとまった金額を一括して受け取る
- 随時融資タイプ:決められた金額の範囲内で随時に融資を受ける
4 リバースモーゲージのメリット・デメリット
リバースモーゲージは自宅以外に資産を持たない高齢者にとってありがたい資金調達法であるがリスクもあるので次に整理する。
(1)メリット
- 自宅で生活しながら自宅を現金化できる
- 融資したお金の使い道は自由である
- 保証人は不要である
- 毎月返済は利息のみ
- 契約者が死亡しても配偶者が引き継ぐこともできる
(2)デメリット
- 次のことがあると融資が減額されたり止まることがある
「土地の下落」「金利の上昇」「長生き」
-
マンションは対象とならないことが多い
5 おわりに
欠点に上げた事項で何か懸念事項がある場合は、売却をして駅の近くの小さなマンションを借りたり買ったりするのも選択肢の一つとして入れておこう。
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