有効な遺言書で争続をなくすには
公開:2018年9月27日 修正:2018年12月14日
1 はじめに
相続の手続きが円滑にできるようにと、遺言書を書いたところまでは良かったが、無効と判断されてしまって予期せぬ争続になってしまったなんてことがあったら大変である。
ここでは、そんな事を避けるために有効な遺言書の概要を知っておこう。
2 遺言とは
遺言は、被相続人の最後の意思表示である。相続が発生したとき、家族の争いが起こらないよう自分の財産を誰に渡すかを決めておくことで家族内のトラブルを未然に防止することができる。
遺言がなかった場合には、民法が示す分割を前提に遺族が集まって細かい分割の方法を話し合って決めることになる。この場合各遺族の希望するものがそれぞれ分割割合に応じて話し合えれば良いが、うまく分割できなければどうしてもトラブルになる可能性が高くなる。
遺言を残すことで、遺族が話し合いで解決する際の方向性を示すこととなる。財産が少しでもある人は何らかの形で遺産分割の方法について遺言を残しておくことが望ましい。特に、この人に相続させたいというものがあるときや法定相続人以外の者に相続させたいものがある場合には有効である。
ただし、遺言書を書くからといって遺産分割割合を全く無視した極端な割合にすることは認められず遺留分に注意しなければならない。
・遺留分とは
例えば、Aさん・Aさんの妻・一男・一女の4人家族においてAさんが亡くなった場合
遺産分割割合は 妻が1/2、子がそれぞれ1/4となる。このときの遺留分はその半分で妻が1/4、子がそれぞれ1/8となる。
3 遺言書の種類
遺言書の種類は自筆証書遺言・公正証書遺言及び秘密証書遺言の3種類あり、概要は次による。
遺言の種類 |
書き方のポイント |
利点欠点 |
自筆証書遺言 |
・必ず手書き ・遺言を作成した日付を記載 ・財産を特定 ・訂正や加筆は二重線で消して遺言で使っている印鑑で訂正 ・本人の署名押印 |
・作成簡単 ・費用安価 ・検認手続きを要す ・不備のとき争いが起こりやすい |
公正証書遺言 |
・公証役場で公証人立ち会いのもと作成 ・証人2名の立ち会い、署名押印 ・遺言執行者の指定(弁護士や司法書士等) |
・遺言を確実に残せる ・手間と費用がかかる |
秘密証書遺言 |
・公証人と証人2人に遺言の存在だけを確認・証明 ・パソコン作成や代筆も可 ・署名は自筆 (不備があると無効になるので注意を要する。) |
・遺言の存在が明確 ・遺言内容を秘密にできる ・検認手続きが必要 ・不備のとき争いが起こりやすい |
研究熱心な人なら自筆証書遺言もできるだろうが、全てに不安な人は公正証書遺言を残した方が安心であろう。
4 おわりに
遺言書を書きたいけれど、家と少々の現金しかないという場合もあると思う。遺産を分割しようにも分けようがないということで、不動産を共有名義ということにしたら今度は売りたいときに売れないという問題が・・・。こんなことにならないよう生命保険で代償分割をするというやり方もある。
代償分割は、親が契約者・保険の対象者となりBさん(その家に住み続ける人)を受取人とする生命保険に加入しておく。そして相続が発生したときにBさんは家を相続する代わりに他の者には保険金を分割するというやり方である。このように遺産が自宅だけで他にまとまった資産がないときに、相続人のひとりが自宅を相続する代わりに他の相続人には現金を支払うことを代償分割といっている。
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