親を介護する子が親の財産を使うときのポイント
公開:2018年12月13日 修正:2018年12月26日
1 はじめに
相続において、親の介護をしていた子が親の財産を使い込んで他の相続人と争いになるという事例が良くある。
この親孝行の子は罪になるのかならないのか、また争いにならないためのポイントは何かについて調べた。
2 平均寿命と健康寿命
2016年の日本人の平均寿命は女性が87歳、男性が81歳となっていて、介護を受けたり寝たきりになったりせず日常生活を送れる期間を示す健康寿命は女性が75歳、男性が72歳となっている。
つまり、女性は12年間男性は9年間の不健康な時期があるということになる。
3 親の財産の管理
長い不健康の間、体が不自由になった親が介護をしてくれる子に財産の管理まで依頼するのは普通の流れであろう。しかしながら、法的には介護をしている子が親の財産を使い込んだ場合には業務上横領罪になる。
ただ、刑法244条は同居の親族との間で窃盗や不動産を奪うようなことがあっても刑を免除するとしている。家庭内で解決をしなさいと言っているのだ。
4 成年後見人は例外
成年後見人とは、植物状態になるなど判断能力の不十分な者を保護する立場の人で家庭裁判所から選任された人のことをいう。成年後見人は本人の同意を得ることなく法律行為を代理することができる。ただし、不動産を処分するような場合は予め家庭裁判所に申し立てをして許可を得なくてはならない。
この成年後見人になった親族が使い込んだ場合は業務上横領罪が成立する。つまり、成年後見人という公的な責任を負った以上、その責任が優先され親族だからといって刑は免除されないということだ。
5 財産を使うときのポイント
使途不明金は遺産ではないから余計に被相続人相互の不信感を生み泥沼にはまっていく。成年後見人になるにせよならないにせよ、相続時に親族同士で争いにならないようにするには親の財産に関係する金銭の帳簿をきちんと付け領収書等の証拠を残しておくことである。
ディサービスや治療費の領収書を見てご苦労様と感謝をされることはあっても争いになることはないだろう。
6 おわりに
親族とはいえ、普段から疎遠になっていると相手のやっていることに素直に納得できないこともあるだろう。そうならないよう普段からのつきあいを心がけることも大切である。
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