法定相続と配偶者から子への相続、どちらがお得?
公開:2018年11月14日 修正:2018年12月25日
1 はじめに
相続人Aの遺産総額が1億円として、配偶者B、子C、子Dの4人家族がいたとする。
ここで先ずAに不幸(1次相続)があり次に遺産に手をつける前にBにも不幸(2次相続)があったとき、相続のやり方として
- 法定相続で相続する場合をXパターン
- 配偶者から子へ相続(1次相続で配偶者がすべて相続、2次相続で子が相続)する場合をYパターン
としたときどちらが得なのだろうか。
2 Xパターンの相続税額
法定相続なので配偶者Bが1/2、子C・Dは1/4づつの相続となる。また、配偶者が相続する財産の額が1億6千万円未満である場合は無税となる。
- 1次相続
配偶者B |
子C・D |
備考 |
|
相続 |
1億円 |
||
基礎控除 |
4,800万円(=3,000万円+600万円×3) |
||
取得金額 |
2,600万円 |
各1,300万円 |
法定相続 |
算出税額 |
340万円 |
各 145万円 |
|
相続税額 |
630万円 |
算出税額の合計S |
|
支払税額 |
0 |
各157.5万円 |
Bは配偶者控除 C・DはSの1/4 |
- 2次相続
配偶者Bの遺産5,000万円を子CとDで1/2づつ相続する。
子C |
子D |
備考 |
|
相続 |
5,000万円 |
||
基礎控除 |
4,200万円(=3,000万円+600万円×2) |
||
取得金額 |
400万円 |
400万円 |
法定相続 |
算出税額 |
40万円 |
40万円 |
|
相続税額 |
80万円 |
||
支払税額 |
40万円 |
40万円 |
支払う相続税額の合計:395万円
3 Yパターンの相続税額
当初配偶者Bがすべて相続、事後Bの遺産を子が相続をする。相続税はBのみが相続するときでも一旦法定相続をしたものとして計算する。また、この場合は子の遺留分を侵害するとになるので相続人Aが遺言書で明示しているものとする。
- 1次相続
配偶者B |
子C・D |
備考 |
|
相続 |
1億円 |
||
基礎控除 |
4,800万円(=3,000万円+600万円×3) |
||
取得金額 |
5,200万円 |
各1,300万円 |
法定相続で計算 |
算出税額 |
340万円 |
各 145万円 |
|
相続税額 |
630万円 |
||
支払税額 |
0 |
0 |
630万円がBにすべてかかるが配偶者控除で0になる。 |
- 2次相続
配偶者Bの遺産1億円を子CとDで1/2づつ相続する。
子C |
子D |
備考 |
|
相続 |
1億円 |
||
基礎控除 |
4,200万円(=3,000万円+600万円×2) |
||
取得金額 |
2,900万円 |
2,900万円 |
法定相続 |
算出税額 |
385万円 |
385万円 |
|
相続税額 |
770万円 |
||
支払税額 |
385万円 |
385万円 |
支払う相続税額の合計:770万円
4 XYパターンの比較
1次相続においては、Yパターンの方が配偶者控除分でしっかり控除できているので相続税額が安い。
2次相続においては、Xパターンの方が取得金額が低いので相続税額が安い。
1次相続と2次相続を合計してみると、この場合は法定相続の方がお得であることがわかった。
5 おわりに
上記のように1次相続から2次相続まで間隔が短い場合はXパターンの法定相続の方がお得と言える。しかしながら相続の間隔が長い場合、極端な例として2次相続をする遺産が無くなった場合はYパターンの方がお得と言える。結果はワンパターンではないので注意が必要だ。
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